あと二つぐらいだし、何となるかも。


「頑張ろっと」


来た道を戻ろうとした時だった。


「わっ!?」


後ろから腕を掴まれ、前に進めなくなったのは。


「な、何っ……」


1発怒鳴ってやろうと、振り向くとそこには夏目くんが居た。


「え、どうして……」


「あんたが露骨に避けるからじゃん」


こうやって面と向かって話すのは久しぶりだ。


忘れもしない、夏目くんの声。


初めて触れられた、夏目くんの手。


ゴツゴツとしていて、大きい男の人の手だった。