「夏目くん……」 いつもは出来ないことを、今なら出来る気がした。 そっと、髪の毛に触れてみる。 無駄に傷んでなくて、サラサラとした髪。 猫みたいにふわっと優しい感じ。 「ふわふわ……」 そのまま下へと手を移動させて、頬に触れる。 モチモチとした赤ちゃんの様な触り心地のいい肌。 指先で撫でると、擽ったいと言うかのように夏目くんの眉がピクッと動いた。 「夏目くん、どうしていつも冷たいの?」 返ってくるはずもないのにね……。