「……もうダメ。私、余裕ないもん」


グッと夏目くんの肩を押すと


「…バカ。逆効果だって言ってんの分かんない?」


夏目くんがそっと腕を引き寄せた。


ー……ドクンドクンっ。


私に聞こえる音。私と同じ音。


「これって……」


「…俺だって緊張ぐらいするし、余裕なんてものとっくにないからね」


甘く聞こえる声に、またクラクラする。