「好き」 夏目くんの唇がそう動いた。 今日の夏目くんはまるで私の知らない夏目くんみたいで、頭がクラクラする。 「俺は、中村このみが好き」 ドクンドクン脈打つ心臓で死んでしまいそうな気がする。 「・・・好き」 震えている声。 暑さとか緊張とか色々なものが一気に押し寄せてきて、恥ずかしさなんてものは度を越してしまっているのに。 なのにこんなにも目の前にいる夏目くんの事しか考えられなくなってしまう私なんて、相当おかしい。