「・・・分からない。だから、聞いてるんだけど?」 なぞる指がピタリと止まった。 近くなる夏目くんの顔で視界がいっぱいになる。 触れない距離。 だけど、少しでも動いてしまえば触れてしまいそうな距離。 鼻先がそっと触れるような距離。 「っぅ」 なにも考えられないくらいに、もう頭の中が真っ白になってる。