けれど、その手は宙を舞う。


「やっぱりダメッ!」


その声がきこえて、グッと後ろへと引かれると同時に


体が後ろに傾いていたのが分かった。


手すりに手を伸ばして見ても、届きはしない。


最後に見えたのは、白いコンクリートと、泣いてる凛ちゃんの顔だった。


身体中に突きつけられる痛み。


霞んで行く視界の中、ただ手を伸ばす。