『ねぇ、君って・・・』 そう、声がしたと思って顔をあげたら、ぶっきら棒な顔をした小さな男の子がいた。 『・・・泣かないで、顔あげなよ』 その子の言う通り、顔をあげると今日みたいな景色が広がっていたんだ。 その景色を見た途端、気づいたら涙も出なくなってた。 『きっと、大丈夫。きっと、帰れるよ』 そう言って、知りもしない私の手を強く握ってくれた。 あったかくて、ふわふわしたような手。