我儘を言って、駅前の喫茶店とは反対の方向へと足を進める私たち。 「中村さん?どこに行くのかまだ教えてくれないの?」 「へへ、つくまでのお楽しみだよ」 人気の少ない昔ながらの商店街を私と小林くんは、この会話を繰り返しながら歩く。 この道は小さい頃よく両親と通った道だった。 賑やかとは到底ほど遠い商店街だけど、自然と落ち着くようなところ。 「こんな所があったなんて、知らなかった・・・」