視界が一瞬で奪われた。 思わず離れようと、手で押し返してみるも、後頭部に手を添えて、離してくれようとはしない。 「なんでいつも、中村さんの中には、あいつしか居ないんだろうね」 「っ・・・」 小林くんのその言葉に、何も言い返せない。 小林くんはいつもそうだ。 確信的なことしか言って来なくて、それが図星で何も言い返せない。 「なんで、中村さんはあいつを想って、そんな顔するのかな」