「このみ」


名前を呼ばれたらだけなのに、私の心臓がドクンドクンと脈を打つ。


「ありがとう」


たったそれだけの言葉なのに、嬉しくて仕方がない。


止めたはずの涙も、簡単に彼によって流れてしまう。


夏目くん、私勘違いしてしまいそうだよ。


もしかしたら、近づけるんじゃないかって。