卑怯なんかじゃない。 私はその優しさにいつも助けられていた。 小林くんがいてくれなかったら、もっと苦しかった。 1人で泣いていたかもしれない。 「けど、中村さんはやっぱり夏目しか見てなくてさ〜。俺の入る隙ないって思い知らされたよ」 グッと小林くんが肩を押して、私と視線を絡ませる。 「俺が好きなのは、"夏目を好きな中村さん"だったみたいだ」 眉を下げて、笑う小林くん。 ぎゅーっと胸が締め付けられる。