「あっ……」


たくさんいる生徒の中で、私の視界に入った彼に思わず背筋を伸ばす。


怠そうに前髪をかきあげる彼。


「夏目くん……」


馬鹿だ。何で、見つけてしまうんだろう。


こんなに沢山の生徒がいるのに、どうして夏目くんだけをすぐに見つけられるのだろう。


それがまるで、“夏目くんだから“と心が言っているようで悔しかった。


「え?夏目出てるの?」


まーちゃんはどうやら見つけられないみたいで、きょろきょろ見渡していた。


そうだよね。普通なら、見つけられるわけないよね……。