「選手、入場」


そのアナウンスで、それぞれのハチマキを巻いた生徒達が足踏みを揃える。


夏目くんとも小林くんとも、曖昧なままとうとう体育祭当日。


「はぁ……」


今日、何度目か分からないため息を吐く。


「このみ、どうするの?」


まーちゃんのその言葉が小林くんとこの事だということは、聞かなくても分かる。


今日、返事をしなければならない。


「このみの中で、答えは出てるんでしょ?」


「答え……」


分かってる。


自分が誰を好きかだなんて、分かってる。