「な、夏目くんッ」


「……」


返事は返ってこない。


夏目くんが怒っている。


それは聞かなくても、分かる。


「い、痛いっ」


強く握られている腕がジリジリする。


熱くて、離して欲しいのに離して欲しくない。


そう思っていると夏目くんの足がピタッと立ち止まった。


「わっ!」


それに気付かず勢いで夏目くんの背中にぶつかった。


「な、夏目くん??」


ヒリヒリする鼻先を摩っていると、腕を掴む夏目くんの手が離れた。