あの日から、夏目くんとは会話は一切無くなった。


委員会で会っても、廊下ですれ違ってもお互い相手の事を見ないようにしていた。


「おーい、夏目」


その声にビクッと肩が揺れる。


こんな風に夏目くんの名前を聞くだけなのに、意識してしまうのはきっと私だけだ。


その度に苦しくなって、泣きたくなるのをグッと唇を噛み締め堪える。


これがいつからか私の癖になっている。


「中村さん、大丈夫?」


「え?」


ふと声の方へ視線を向けると、小林くんが心配そうな視線を私へと向けていた。


小林くんはよく他人の事を見ている。


きっと私が夏目くんを意識している事さえも気付いてる。