スッと夏目くんが私の横を通り過ぎた。 何故かその瞬間だけ、風が冷たく痛く感じた。 バタンっと扉が閉じる音を背中に感じて、私は全身の力が抜けたかのようにその場に座り込む。 「な、つめくんッ……」 地面に黒い雫が何滴も落ちる。 きっと夏目くんを傷付けてしまった。 自分が傷つきたく無いから、夏目くんに酷いこと言ってしまった。 これでもう夏目くんは完全に私の事を嫌いになったに違いない。