「あ、えっと……。いや、その……」 何が言いたいのか、何を伝えたいのか全く思い付かない。 まさか夏目くんが起きるなんて思っていなかったから。 あの時は夏目くんの意識は曖昧だった。 だけど、今の夏目くんははっきりと私だと認識しているに違いない。 凛ちゃんでもなく、〝 私〝 なのだと。 「俺に何か用?」 久々に間近で聞く夏目くんの声は、私の心臓の早さをいとも簡単に加速させる。 「ち、違くて……。たまたま、ここに来たら夏目くんが居て……」