前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー

さて、和やかな話ばかりはしていられない。


まず、ケンゴくんが今日あったことを
サエちゃん達に話すと


ジンさんがちょっと難しい顔して
話始めた。


「昨日、紗江がここで話した作戦なんだけど…一応俺たちで皆の事を調べさせて貰って色々と相性とかを考えて建てた
作戦なんだ……
ギリッギリの少ない戦力で突破するためのな… でも今日新たな情報が
入って雑魚の数が100人から150人に
増員されたらしい…
てか、ここまで多くの奴らが薬中漬け
にされてるのも驚きだ…
ケンゴの話を聞いた上で確信したけど
有坂は少々好き勝手する奴らを見越して
増員したんだな。
有坂は何がなんでもミカちゃんを
手に入れる気だよ………
この人数だと俺らもかなり痛手を
追うことになるな。
雑魚150人なんて対したことねぇけど
遠藤組の奴らがかなり厄介だ……」



ジンさんの言葉にみんな
静まり返った。


100人だったのが一気に50人も
増えるの??


一体有坂くんは何を考えてるんだろう?


するとヨウスケさんが口を開いた


「50人増えるとさすがに
俺らも腕の一本や二本は覚悟して
かからないとな……
それと、礼二とトシヤの2人を奥に
行かせるための作戦をまた練り直さねぇと…礼二は竹刀が触れるからまだ
いいとして、トシヤは奥に進むまでに
だいぶ拳に傷がついちまうな…」


ここでまたみんな沈黙


ああ、私は何をしてるんだろう?
背中のせいで稽古も出来ず…


たださえ私だけがここで足手まとい
なのに…


自分で自分の身が守れれば
サエちゃんが私について回る事もないのに…


みんなごめんなさい。


するとレイジが私の手をそっと握ってきたので見上げると


フッと優しく笑った。


大丈夫。俺は負けないよ?って
言ってる。


幼馴染みだからね、私たちは
言葉が無くても意思疎通できる。


こんな時までレイジは優しい。
だからこんな時まで胸の奥がほんのり
暖かい。大好きだよ、レイジ。