前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー

「それから… この事は
私、サヤカ、サユリ、陽介、仁の5人だけの秘密にしようって誓ったの。
工藤はそれからすぐに捕まって…
まさかアイリと有坂が通報してたなんて…ユウに聞いた時ビックリしたわ。
でもね、工藤1人が捕まったって何にもならない。
上手いこと言って
麻薬を売る奴がいる限り2人は救われないから。
だから私たちは何が何でもアイツらを許さない!!
私たちは私たちのやり方でアイツらに
復習するってね…
私たちは当時、高2だったんだけど
気持ちを入れ替えて5人で猛勉強したわ
そして、私たちは警察官採用試験に全員で合格したの。
合格して警察学校に入っても私たちは
猛勉強し続けたわ。
全てはカイトとサヨコをあんな目に合わせた奴らを根こそぎ捕まえるために…
そして、私たちは首席の成績で卒業したの。その中で、私と陽介は公安部から誘いを受けて配属されて、サヤカ、サユリ、仁は刑事課に配属されたの。
高卒でここまで一気に駆け上がれたのは
2人の力だって、私たちは思ってる。
私と陽介が働いてるバーの全員は
みんな、公安部の人たちよ…
特に、暴力団関係の抗争や麻薬や銃の密売関係を担当してる部署だと思ってくれて構わないわっ。
オーナーは一般の人なんだけどね。
あの場所は色々と情報が入りやすいから
私たちは正体を隠して
あそこで商売してるってわけ
もちろん、儲けは私たちに一銭も入ってないんだけどね…
週に何回か署に戻って事務仕事をしたり
会議をしたりしてるわ…
サヤカ達は3人で麻薬捜査官となって
麻薬関係の犯罪を一掃してやるっていって、頑張ってる」



と、言うとふうっと一息ついて
テッタ君の事を見て軽く
微笑んだ紗江さん。



「サエコさん…
俺、ヨウスケ君達にも随分可愛がって貰ってたし…
ネェちゃん達も俺の事本当に良く目ェかけてくれてたのに…
全く気がつかなかった…情けねぇよ!
カイト君は俺の喧嘩の師匠だったから
自殺なんかしやがってって勝手に思ってた…。
ネェちゃん、サヨコさん達が亡くなってからしばらく笑わなくなってさ…
ある時その事指摘したらさ
ネェちゃんハッとして申し訳なさそうに悲しそうに笑うんだ…
昔っから優しくて強くて俺からしたら
偉大な人で自慢のネェちゃんだった。
でも、その時ばかりは小さく見えて…
ネェちゃんがそんなんじゃ
サヨコさんはいつまでたっても天国へ
行けない!なんて言っちまったんだ。
ネェちゃんの気も知らないで………」



「テッタ!
サヤカはアンタのその一言で立ち直ったんだよ?
サヤカは特にサヨコと仲が良かったから無茶して1人で工藤の所に乗り込もうとして返り討ちにされたり
亡くなった時なんかは誰よりも落ち込んで、最後まで塞ぎ込んでたの…
でも、テッタのその一言で身体に力が入ってくるのがわかったって言ってたよ!
中3の弟に助けられたって泣いてたんだから(笑)」


「サエコさん……ネェちゃん……」


溢れる涙を拭うことも忘れて
言う紗江さんを見て


ミカとアイリちゃんも啜り泣いてる


するとユウタロウが紗江さんを
強く抱き締めて


「紗江…辛かったな…
さっきはごめん。
何も知らないでのほほんと
生きてこれたのは紗江や兄貴たちの
おかげなのに……
本当にごめん!!」


「いいのよ…言われて当然だから…
私たちは気付くのが遅すぎた。
ユウにいつかは本当の事
話さなきゃって思ってたんだけど…
ここにいるみんなのおかげで話す事ができたわ…みんなありがとうね。
さて、辛い過去の話はこれでおしまい!
サヨコとカイトは私たちのココの中で
ラブラブしてるんだからっ(笑)
こっからは上げていくわよっ!」


紗江さんは溢れる涙をキッと拭うと
胸に手を当ててニッコリ笑った。