前編 かすみ草の恋 ー大学生編ー

「それでね…
ダイスケは高みの見物とばかりに
入って来なかったから
2対30でもなんとかなったかと思ったんだけど…
叩いても叩いてもやっぱ立ち上がるんだわ…
それで後ろから不意を付かれて
おもいっきり棒を振り下ろしてきた奴がいて…
ケンゴはちょっと離れた所にいたし
気がついた時にはもう避けれない位置にいたの。
その時凄い勢いでミカが走ってきて
私をかばって
おもいっきりそこの左肩と背中をやられたの
そしたら、ダイスケがキレて
俺の女に手を出しやがったなっ!!ってなってその男を一発でノックアウト
したんだけど…
それでもダイスケの怒りが収まらなくて
大暴れし始めて、取り巻きの奴らも
ダイスケを取り押さえる事に気を取られてたから隙をついて逃げてきたの。」



「………………」



「わりぃ、礼二…
俺がもう少し早く学校に着いてれば…
ついさっき、門をくぐった所で3人と
合流できたんだ…
話を聞いてビックリだよ。
全然そんな様子も無かったから……
って、おいっ!!礼二!!
悪かったって!!俺が悪かった」


黙って話を聞いてた俺だけど
かなり眉間に皺が寄ってたらしい


すんげえイラつく!!


俺の女だと??


ミカは俺の女だ…


ブチッ


俺の心の中のストッパーが外れた
気がした…


もう我慢の限界だっ!!!!



俺は無表情でスッと立ち上がると
そのまま喫茶店を出て行こうとしたら


ミカが大声をあげて


「みんなっ!!レイジをとめて!!!
レイジ、ブチ切れてるっ!!
急いで!!!!」


と言って急いで俺より先回りすると
喫茶店の入り口の所に走って行って
腕を横に広げて


「通さないっ!!!」


と言って真剣な顔で俺を見つめた


ミカちゃんよ…


俺の大切なミカを傷つけた挙句に


俺の女だとっ!!!!


許せるわけないだろーが…


「ミカ…どけよ…
俺の女を傷つけた挙句に
俺の女を自分の女呼ばわりする
ゲス野郎は今すぐぶっ殺す!!!」


3人組が


「「「そこかよっ!!」」」


とツッコミながら走ってくると
俺を取り押さえ始めた。


「礼二…頼むから今は堪えてくれ!」


「礼二!!謝るからっ!頼むよっ!
アイリ!!ダイスケのそのセリフ
いらないでしょっ!!」



「あっ、ああ、ごめんなさいっ!
でも事実なんだもん……」



何人がかりだって
キレた俺を力で止める事はできねぇ!



俺はガッと力を入れると
次から次へとしがみついてくる奴を
片っ端から突き飛ばして



出口を塞いでるミカのすぐ近くまで
突き進んで行くと



紗江さんが急にキンキンに冷えた
おしぼりを俺の顔に押し付けて



「礼二!!頭冷やしなっ!!
ミカちゃんが身体を張って守ってる
扉を開けて行くつもりかいっ!!?
お前はこのチームのボスだろうがっ!
そりゃ、自分の大切な人がそんな事
言われたら腹も立つ!
気持ちは痛いほどわかるっ!!
でも、今はその時じゃないだろーが!
ミカちゃんは礼二の女だよ…
それは事実だ。
有坂の女でもなんでもねぇ!!
いいか?
礼二…もう一度言う。
ミカちゃんは礼二の女だ。
ミカちゃんが好きなのは礼二だ…」



「そうよ!紗江さんの言う通りよ!
レイジくん!ミカはレイジくんしか
見てない!!」



「レイジ…頼むからっ!
ミカ先輩はいつだってレイジだけ
じゃねぇーか!」