と言って、服の中に隠せるくらいの長さの棒を私とアイリに渡した。


すると、アイリが手首にスナップを利かすようにしてクイッと動かすと
その棒がスッと伸びた。
60センチくらいだろうか…
そして、持ち手の方のボタンを押すと


「おいっ!
アイリそれをふりまわすなよっ!!」


と、テッタくんが言った。


「ふふーん。ケンゴいいの仕入れてきたわねっ(笑)でも、私は電気なんか必要ないのに…」


と、アイリが悪戯っ子のように笑った。


「念には念をだ。アイリ
それはスタン警棒といって
警棒の先に電気が流れる仕組みになってる。電気自体には殺傷能力はないけど
相手をビックリさせて怯ませるくらいの効果ならあるから。
喧嘩慣れしてないミカちゃんは
怖くて使えないかもしれないけど…
もし、自分の身に何かがあった時は
躊躇わずにスイッチを押すんだ。
大丈夫。ビックリして気絶するくらいは
あるかもしれないけど、致命的なダメージは受けないから…安心して。
とにかく、ミカちゃんは捕まらない事。
それはミカちゃん自身のためでもあるけど、俺らチームのためでもある。」



と、穏やかな表情で凄いこと言い出すのでビックリしてレイジの顔を見上げたら



黙って、私に向かって優しく頷いた。



「ケンゴ君、ありがとう。
ミカ、ケンゴ君の言う通りだ。
24時間俺が一緒にいて守ってやりたいけど、そうもいかないし、乱闘になった時にアイリちゃんが手を離せなくなる状況もあり得る。
何かあった時は怖がらずにその棒を伸ばして相手をぶっ叩いてスイッチを押せ。
怯んだ隙に全速力で走って逃げろ。
ミカは足速いから大丈夫だから…」



と、レイジが私の背中を優しくさすりながら言った。


うん!!


喧嘩なんかしたこと無いから怖いけど
皆のために私が出来ることは
足手まといにならないこと。
自分の身は自分で守らなくっちゃね!!


わかったよ!

レイジ!みんな!!


私は力強くみんなに向かって頷くと


皆も笑顔でそれにこたえてくれた。


「よしっ!
ミカちゃん明日から頑張ってね!
撮影の日以外はアイリと練習してね。
アイリは少しの間部活を休んで
ミカちゃんと一緒に帰っていいから。
それくらいの変化じゃ、大輔は特に何も勘繰ることはないだろうから…
学校では今まで通りだ。
でも、常に連絡はつくように連絡先を
交換してグループトークで小さな変化も逐一報告すること。いい??」


と、ケンゴ君が言うと
今度はみんな真剣な顔で頷いた。


すると

「おっと!やべぇ、紗江に連絡すんの
忘れてたっ!!怖い〜〜!!
ねぇ、ミカちゃん、今から彼女に電話するから出てくんない??」


と、ユウタロウくんが慌てて彼女さんに
電話して
なぜか私も電話で話した(笑)



「はじめまして〜!
アホったれのユウから良く話は聞いてます!彼女の紗江です〜
礼二くんとは年末のスノボの時に
私が無理矢理ついていって
会った事あるんだけど…
ミカちゃんの噂は兼々聞いてるよ!
是非、今度一緒にご飯でもっ!
あっ!いーや!近々私から会いに行っちゃう(笑)ではまたね〜!」


と、ユウタロウくんの彼女のサエさんは一方的に話すと電話が切ってしまったみたいだ。


困った私は首を傾げてユウタロウくんを見ると


「ミカちゃん
今話したのが俺の彼女の紗江(笑)
パワフルでしょ(笑)
と、言うことで早く帰らないと
ぶっ殺されるので俺帰るわっ!
おいっ!ライタ、トシヤ!お前らも
来いよ!!」


と、慌てて身支度を始めた



「「えー!やだよー!!
サエちゃんとこ行くと吐くまで飲まされる!!」」


と、嫌がる2人をユウタロウくんは道連れにして帰って行った。


そしてアイリ達も帰り今日の会は
お開きに…