黒蝶-闇の中の少女-

こっちにくる




顔が見えた。


大和だ



「優月ちゃんは弁当なんだね」


「…………まあ」


何しに来たんだろう。



「もーらい!!」


私の弁当に何かが伸びてきて
たまご焼きを奪い取った


「あ、私の」


「ん〜おいしいね、このたまご焼き」


勝手に人のものを食べるなんて。
ありえない。

ありえないけど


大和は昔からこうだった。


「ねえ…優月ちゃん」


いままでとは違って深刻そうに私の名前を呼ぶ


「なに?」


「…………いや、なんでもないや」



多分、大和は気付いてる。


なんで聞いてこないのかはわからない、でも



私が誰なのかは気付いてる。


「じゃあね!優月ちゃん、明日は屋上きてね?」


そう言い残して教室を出で行った



薫くんたちに散々言っておいて


行くわけにはいけない。


なんでこいつらと絡んでるんだろうか。


絡みさえはじめからこんなことにはならなかったかもしれない。