冷酷男子の溺愛




ーー


さらに、事が発展したのは、翌朝のことだった。




───ピピピピ


いつものように、機械音にイライラしながらも

気だるい体に喝を入れ、身じたくを済ませる。


それから、ゆっちゃんとナミと授業が始まる前に話ができるように


時間には余裕を持って家を出る。



それが今までの習慣。


───でも今日は少しだけ違った。



「あと少しだけ待ってな」


ドタンバタンと階段を駆け下り、漫画のひとコマに出てくるような


食パンを口にくわえたまま、大慌ての瀬戸内くん。




「いってきま……」

「おい、コラ待てって言ってんだろ」




低血圧だから、朝はすこぶる機嫌の悪い悪魔に、行く手を阻まれた。



ーー


「お待たせ」


別に待ちたくて待っていたわけではない。

あなたのその殺気が怖くて、結果的に待ってただけなのであります。



そう、心のなかで言い訳をしながら、なぜか一緒に学校へと向かった。