冷酷男子の溺愛




今日、つけていたのは、謝るタイミングを見計らっていて


瀬戸内くんが隣にいたから話しかけられなかったのだ、と


その場にいるみんなが口を揃えて言った。



「ごめん、騙して。

わたし、悠くんに相談されて、それで……今日のことを計画」


「もう、いいよ」

神妙な顔をする由美子ちゃんに、そっと声を掛けた。


悠がすっとわたしの前に現れる。


「お願い、知奈、もう最後だから」


最後という言葉に後押しされてか

それとも悠のやつれた表情に同情してか


わたしは


「わかった」


そうとだけ返事をして、奥にある部屋に進んでいった。



ーーどうしてわたしは、悠を信じてしまったのだろう


クズは所詮、クズなのに。


その場にいるみんなの怪しい企みに気づくこともなく


ただ、密室へと、足を踏み入れてしまった。