「─── 知奈っ」
この人が来るまでは。
「……悠」
「ごめん、俺、どうしても知奈に謝りたくて」
「……」
今、目の前にいるのは、浮気ばかりしていて、どうしようもなくクズで
先日、別れを告げた人。
「わ、たしは話すことなんてない」
もう、終わったの。
わたしたちは終わったの。
もう、蒸し返して欲しくない。
忘れたいの。
「でも、ごめん、最後に一度だけ、ふたりで話したくて、みんなに協力してもらった」
今まで見たこともないくらい
顔は青白くて、クマが出来ていて
やつれた顔。
「ごめん、最後だから」
「今日、絶対に謝るんだって聞かなかったのよ、廊下で待ったりもしたみたいだけど無理だったみたいで」
真剣な表情で、由美子ちゃんや悠の友達の男子たちまで言った。
浮気をしたのは、妬いて欲しいから。
妬いて欲しいのは、好きだから。
好きだけど、まだ別れたくなくて
さゆちゃんとはただ、お茶をしていただけで恋愛感情など持っていなかった。

