冷酷男子の溺愛




わたしを睨みながら、はあ……とあからさまにため息をつく彼。


「なんのためにそんなシャレた格好させたと思ってんだよ」

「?」

「彼氏にも、同じ思いされるために決まってんだろ」


……あ、そういうこと。


わたしが瀬戸内くんと楽しそうにしてるところを見せつければいいのね。


……でもさ



「瀬戸内くん、女嫌いじゃん」

「……そうだけど」


「大丈夫なの?もし気絶とかされても知らないからね」


「……うっさい、たぶん大丈夫。あんた女性ホルモン足りてないから」


……えっ、ちょ、なに。

失礼にもほどがあるんだから!


イラついて、ニヤニヤしている彼の頭をお盆で叩いた。




「……ってえ」


これが思いのほか強く叩いてしまったみたいで手で頭を押さえている彼。


……ふっ。


「ざまあみやがれ、お盆で触っただけ優しいと思いなさい」


自然と笑みがこぼれた。

浮気を目撃し、もう立ち直れないくらいへこんでいたはずなのに


今、笑っていられるんだから不思議だ。