冷酷男子の溺愛







「……」


「逃げないためには、信じなければいけなかった。

だけど、誰かを信じることの出来ない俺には、信じるために、仮面が必要だった。


仮面があれば、人との距離を保つことで傷つかないで済むと思ったけど

結局そんなのはただの悪あがきにしか過ぎなかった、結局俺は昔から何ひとつ変わらない」



ただ、彼は、警戒心が強くて、不器用なだけだった。


震える声で、告げられる、彼の気持ち。



傷つくのは、誰だって怖いよ。

自分の知らないところへと踏み出すには、誰だって勇気がいるよ。


わたしだって逃げるよ。

逃げちゃうよ。



だけど、それでも前を向かないと、手に入れられないものがあるっていうのなら。


泥臭くても、カッコ悪くても、がむしゃらに一生懸命にならなきゃ、幸せなんか掴めないっていうのなら。