「俺、本当は彼女なんかいない」
「……」
やっぱり彼は、優しい声で言うんだ。
そんな声で言われたら、もう、引き返せなくなるのに。
やっぱり彼はわたしを離してはくれない。
「だから、まだ、帰らなくていい」
「……」
だから何度でも、彼に惹かれる。
それはもう、必然。
「───もう泣くなって、おいで」
両腕を広げて、微笑む。
そうやって緩急つけて優しくして
もうこんなにも惚れてしまっているわたしに何をして欲しいの。
心臓がドキドキ高鳴って、もう爆破しそうで、手にはどちらのものかわからない熱を帯びていた。
「……ごめん、妬いてるお前、可愛すぎてもう死にそう」
彼の腕の中におさまったわたしは、その言葉に死にそうになった。

