冷酷男子の溺愛




ーー


若干一名、サボりという名の早退者が出ましたが


元はと言えば、そいつはついこの間までいなかった人間である。

よって、特に気にすることもなく、授業をこなしやっとのことで放課後になりました、とさ。


でも、一難去ってまた一難。



「……知奈」

突然廊下から呼ばれる声に、わたしの肩はピクリと反応した。


「え、どうしたの……悠」


そこにはつい最近3度目の浮気をやらかしたカス彼氏の姿。



「どうしたのって、知奈と一緒に帰ろうと思って」

悪びれた様子もなく、口元には妖しい笑みが浮かべている。


「わたし、まだ許すなんて一言も……」

「そろそろ俺が恋しくなってきたんじゃないかな」


「・・・」

ギャグではないらしい。

もう3度ほどまばたきをして冷静になったけど

やっぱりギャグではないらしい。


ネガティブのくせに、自信があって。

浮気をするくせに、わたしにヤキモチを妬かせようとする。


……ダメだ、悠のことを好きなのは変わりないけど

最近は嫌なところばかり、目につく。