「……瀬戸内くん瀬戸内くん」
「────な、んだよ」
振り向きざまに見える彼の顔は、それは、もう、恐ろしい顔をしていて
やったあ、学校サボってラブタイム!
なんて、とんでもないです、浮かれられません。
案外照れているだけかも、なんてわたくし調子に乗りました、ごめんなさい。
「……」
「言いたいことあるなら言えよ」
だけど、やっぱり。
その鬼のような顔と、詐欺師のような声とは裏腹に、言葉の意味は優しくて。
彼に触れている手に熱を帯びていることがわかった。
わたし、言いたいことがあります。
さっきから瀬戸内くんが不機嫌で、そりゃあもう、あまりに不機嫌で、声をかけることすらできなかったけど。
キミに言いたいことがあります。
「ここ、どこですか?」
野を越え、山を越えてはいないけど、気づけば学校なんて見えない。
辺り一面、知らない景色。
わたしをどこに連れてく気ですか、瀬戸内くん。

