冷酷男子の溺愛




「ほれ、知奈、セレブくん」


代わりに、雅稀が横からスッとティッシュを差し出してくれる。

手渡された、セレブくん。


本来なら鼻を咬むべくして生まれてきたセレブくんを、わたしのこんなしょうもない失態で使うなんて。

甚だ申し訳のない話だけど、目の前には般若がいる。


許してくれ、セレブくん。




わたしの買った紅茶はほとんど中身が入っていなくて、すべてあの人に吸収されてしまっていた。


だから、持ち歩きの出来るセレブくんでは足りなくて。




「教室に箱のセレブくんあるから持ってくる」



雅稀の非常事態用の箱セレブくんまで、応援に来てもらわねばいけなくなった。




「……雅稀、ごめんね」

「謝る相手、違うでしょ」





ちゃんと、話して来きな

言いたいこと、言うんだよ



そう言い残して、雅稀は箱セレブくんを連れてくるため、その場から離れた。