「へっくしょーい」
「何、知奈、風邪?」
そろそろ、花粉の季節か、いや違う、まだ早いとは思うが。
ここのところ、鼻水はズルズルだわ、豪快なくしゃみは止まらないわで、女子力低迷中である。
「……ずびっ」
「……ほら、ティッシュ、使いなよ」
鼻水をすすれば、隣からはスッと出てくるティッシュ。
え、うそ、女子かよ。
わたしですらティッシュなんか持ってないのに。
っていうか、そのティッシュ、セレブくんだし。負けた。
あの日から、わたし達の関係は崩れてしまうと思ってた。
気まずくなって、話をしなくなって、顔も見なくなって、そのまま距離が広がってしまうのだろうと、勝手に思ってた。
だけど、雅稀は、そんな男じゃなくて。
大きな大きな心は、やっぱり寛大で。
わたしたちは、その後仲良く
一緒に時間を過ごしていた。

