「……いてっ」
ポン、と、頭に微かな衝撃が走る。
驚いてその方向を見ると、資料を丸めて叩いてのであろう雅稀が、いたずらっぽく、笑っていた。
「…え、ま、雅稀?なにして」
「……知奈が俺のことを気にしてくれてるのはわかったから」
彼は、ものすごく穏やかな表情だ。いつもの優しい、表情。
「え」
「少なくとも目の下にくっきりとクマが出るくらいに、ちゃんと考えてくれたこともわかったから」
「……」
「とりあえず、黙ろうか、うるさい」
ニカッと、彼は、特徴的な八重歯を見せて笑った。
普段から優しさの塊の雅稀がうるさいというなんて────と、教室はざわざわし始める。
「……知奈って本当馬鹿だよね」
「は」
「あからさまに動揺して視線を合わせようともしないでさ」

