冷酷男子の溺愛




「ん、いいから早く話せ」

あー眠い眠い、なんて言いながらも、真剣な顔をしているんだから、ズルい男。


「本当にいいの?だって瀬戸内くん時間に追われてるって」



「うわーまさかの信じてたー」

「少し考えれば普通わかるだろ、時間に追われてる人間がスウェット姿でこの小汚い部屋に居座るなんて暇としか言えないっつーの」


失礼なところもあるけど、なんだかんだ優しいんだから、ズルい。



瀬戸内くんの優しさは、目に見えないようで、よく見えるね。

不器用な優しさは、驚くくらい、心に染みるね。



そう言ったら、彼はちょっぴり頬を赤らめながら、手で顔を覆った。



「ねぇねぇ瀬戸内くん」

「なにマジでこっち見ないでください」




瀬戸内くんが部屋にくるってわかっていたらジュースも飲み散らかしたままになんかしなかったし。


漫画だってきちんと片しておいたのに。


日頃のダラしなさを恨むよ、わたし。あー後悔。