冷酷男子の溺愛




「……うーん、改めて言うとなるとなんかさ」


不安とか悩みごとを言うなんて、そんなのゆっちゃんとナミ以外に話したことないし照れるじゃない。

ましてや、わたし、異性に話すのにだって抵抗があるんだから、彼になんて、心臓ドキドキ飛び跳ねてしまうのに。


彼はいたって冷静で、こっちの気持ち、わかってない。


「何をいまさら。ってか別に俺はこの雑誌に集中してるからお前が照れる意味がわからん」



颯爽とペラペラとページをめくる。

なんだよ、それ。絶対読んでないってば。


「いやいやいや、べつに照れてないし、本当わたしに構わなくていいんですけどー」


「うっさい。本当お前素直じゃない奴だな、いいから言うなら言え、こう見えて俺は日々時間に追われているなかで時間をさいて──」


「なら帰ってください」



結局、いつものように、口論になる。

わたしがどれだけドキドキしているか、あなたにはわかりますか。

本当、太ももをつねっていないと、なんだかにやけてしまいそうになる。



「……」


わたし思ったんだ。気づいたんだ。

彼は自分の優しさを隠そうとするの。


だけど嘘つくのが下手で全然隠しきれてないところとか、たまに見せる照れた顔とかが見えるのが、わたしは無性に嬉しくて。

好きだな、って思えて。

顔はにやけて頬はゆるゆるだし、やばいわたし、本当やばい。そろそろ、末期だね。