冷酷男子の溺愛




「……どうしたの?」

「どうしたのじゃないだろ、何度飯だって呼んでも降りてこないし、お前今日おかしいぞ」


「……」


キミの瞳が、揺れた。

不安そうな、眼差し。


だけど、それを隠すかのように、瀬戸内くんは、わたしのベットに、ドサッと腰掛けて、近くにあった雑誌をペラペラとめくった。



「……別にお前が不機嫌になろうが、落ち込もうが、飯も食べずに眠り続けようが、俺には全く関係ないのだけど」


「……うん」


時折わたしの表情を伺って、話す。


「それじゃ、お前の家族があまりにも可哀想だから、一応聞いてやるよ、どうした、何があった」



仕方なく、とか。

一応、とか。



そんなこと言ってるわりに、表情は本気なんだよ。

さすがにね、一緒に暮らしてると、良い意味でも悪い意味でも相手のことがわかっちゃうんだよ。



瀬戸内くん、キミは本当に、素直じゃない。


言葉とは裏腹に、優しさがにじみ出てるよ。