冷酷男子の溺愛





「……大丈夫か?」

「うん、平気だよ」


平気な、はずなんだ。

拓ちゃんと、瀬戸内くんと、出かけられる日を、楽しみにしていた、はずなんだ。



「────……っ」



なのに、一体何なんだろう。

鳴り響くような、頭の痛みも。

突き刺さるような、胸の痛みも。



こ れ は 一 体 な に




「────……」


昨日もなかなか寝付けないくらい、待ち遠しかったはずなのに。


張り切って、お弁当を作っちゃうくらい、楽しみだったはずなのに。









「────」



無性に泣きたくなった。


どこにでもありそうな風景や、どこにでも咲くキンモクセイの花もが、


全部、全部が心を震わせて。




わたしはやっぱり、泣きたくなるんだ。