「おい、どうした」
彼の整った顔が視界に入り込んだ。
両肩を揺すられて我にかえる。
「……ああ、大丈夫だよ」
「顔色悪いけど」
途端にずっと俯いていた肩を、彼の方に向けられる。
「そういえば箸がすすんでなかった」
「……」
はるか上から注がれる視線。
その暖かい眼差しにドキっとする。
「そういえば笑顔がぎこちなかった」
「……」
瀬戸内くんは、ずるい。
瀬戸内くんは、ひどい。
「部屋の前でぼーっとしてたり、何かあるんだろ」
「……」
整った容姿に、低く落ち着いた声に、優しい雰囲気。
「……どうする、今日はサボるか」
それでもって、わたしの気持ちを全てわかっちゃうもんだから
……こんなの、ドキドキしないほうがおかしい。

