神様のいじわる

俺には双子の妹がいた。
でも…今の俺のもとに妹はいない。
なぜ気づけなかったのだろうか。

妹は家族のムードメーカーだ…と思っていた。

俺が小学一年生の時だった。
俺はいつも通りに家に帰った。
その日は妙に家が静まり返っていた。

「親父…?」

あの時俺は、妹がズタズタになった姿を見てしまった。
父親が妹に暴力をふるっていることを初めて知った。


静かな家にただ妹のすすり泣く声が広がっていた。俺は妹の元に駆けよった。

「お兄ちゃっ…ごめんね…。私。弱くてごめんっねっ…。」

俺は初めて妹の泣く姿を見た。
妹は常に笑顔を絶やさないぐらい明るい女の子だった。

…でもこのときだけは大きな声をあげて泣いた。

俺は自分の無力さを知った。

「ごめん、ごめんなぁっ…。お兄ちゃん、助けてあげられなくて、気づいてあげられなくて…ごめんなぁっ…。」

俺たちはその日から笑わなくなった。

その一週間後、両親は離婚した。

妹と俺はずっと母親について行くつもりだった。
しかし、父親は妹を連れて行く事を許さなかった。
俺は必死にとめた。
でも妹には、
「お兄ちゃん。お別れしよ?私は大丈夫だから。」
強い意思があった。

俺は言った。
「8年後の中学三年生の今日、いつも俺たちが遊んでいる公園で会おう。」と。