私は、目の前の少女の言った言葉に、耳を疑った。




「は?」

「だから、一緒に探そう!」

「違う。その次。」

「え?“七桜伝説”の方?」




やはり聞き間違いではなかった。




「あんた、バカじゃないの!?」

「え、ええ!なんで!?」




少女は意味が分からないといった表情をした。

そして私は、あぁ、そうかと納得した。




「そういえば、桜は転校生だったっけ。」


私は2年前の転校して間もない頃の桜を思い出した。




「えー?何それ。忘れてたの?」




それに対し、私は素直にまあねと言った。




「だって桜、転校して直ぐに皆と打ち解けてたじゃん」


「うーん、そうかな?」


「いいなあ、私口下手だから」


「でも、鈴葉すっごくいい子だから、少し話せば直ぐに皆と仲良くなれるとおもうよ!」


「そう?..........ありがと」







..........って、





「そういう話じゃなくて.....
あのね、“七桜伝説”っていうのは、“呪われた七桜”といわれているの。」




「の、呪われた、七桜...?」



「そう。昔から、“七桜伝説”の秘密を探ろうとしている人は、皆行方不明になっているらしいよ。」




「行方不明.....?」



「ここら辺の中学校でも、昔行方不明者が出たっていう噂だし。」




「嘘..........」



「まあ、皆は神隠しにあったんじゃないかって言ってるんだけど。」




っと。

今桜に話したのは、全て本当に噂で流れていることだ。

これだけ話せば、桜も“七桜伝説”を探したいとは思わないだろう。




なんて思った私がバカだった。

......いや、私はバカではない...ハズだ。














「いいね~。桜、もっと気になってきた♪」
















は?


何言ってんのコイツ。


頭おかしいんじゃないの?


病院行った方がいいんじゃないの?


良い病院教えていげようか?



と、瞬間的に思った。




「“七桜伝説”を探した人は、皆神隠しにあう.........素敵!素敵すぎる!!
桜が探し求めていたものは、まさしくそれ!!」



そうだった。

忘れてた。

桜は、こういうやつだった……。



肝試しとか、苦手そうに見えるのに、案外得意だったりする奴だった。



「あはは!
神隠し神隠し~♪」


「いやいや、まだそういうホラー系?って決まった訳じゃ.....」


「ふふふ♪
“七桜伝説”、“呪われた七桜”ねぇ.....
探した人は、皆行方不明だなんて。
すうっごく、ゾクゾクするっ!!」


駄目だ。

全く聞いてない...。




「よし、それじゃあ早速明日から調査しよう!鈴葉!」

「いやいや、まず人の話を聞けって」

「あはは~!明日が楽しみだなぁ~」




うわぁ、コイツ、勝手に話進めちゃってるよ......。




「じゃあね、鈴葉!また明日学校でね。おやすみ~!」




そう告げてから、走って自分の家へと向かって行った桜だった。












桜がいなくなってから、秋の夕暮れに染まる坂道で、私は胸騒ぎがするのを感じていた。











「何かが起こる気がする......」










この日から数十日後。

私の予感は的中した。











それも、最悪な形で__