真夏の高校生探偵記


 
 -氷室邸

 「…もしもし?」

 政樹はスマホで電話している最中だった。

 「無事に清二はバトルロワイヤル参加してくれるらしいぜ」

 「あー…それは、ご苦労様」

 「おいおい。折角、お前の事件に俺も協力してやってるのにその態度か?瞬」

 「悪い…悪い」

 「まったく。…で、どうだ?良と竜也の動きは」

 「情報屋の貝塚に尾行を頼んで随時情報が…」

 「貝塚…?あぁ、お前があの事件で救った奴か?」

 「そうそう。あれ政樹さん知ってるっけ?」

 「お前と美月ちゃんが出会ったきっかけの様なものだろ?」

 「……あぁーそうだったなー」


 -1年前…

 金剛町パチンコ店『ゴールドメッキ』

 「ちっ……」

 『鉄の情報屋』のパチプロ貝塚はとある賭けをしていた。

 「おいおい。これで勝てば本当に情報を渡すんだな?」
 
 「……勝てたらな…」

 相手の名前は有名な『白森組』の組長白森健三だった。

 「ふふふ。お主もなかなかの腕と聞くが…?」

 「えぇ、自負していますよ。ですがね……もし負けた場合の賭け金は大丈夫なんですか?」

 「心配せんでええ。こんくらいの金をかけるほど情報がほしいってわけだ」

 「そうですか…ではお手合わせお願いします」

 「なら仲介人…そうだな、そこの姉ちゃん!」

 姉ちゃんと呼ばれた女の子が声を上げた。

 「は、はいっ!…私の事でしょうか?」

 「そうだ」

 その女の子とは秋間美月だった。

 「えっと…なんでしょう?」

 「そこのあんちゃんとパチンコ勝負するんだが、ズルしないように見張っててや」

 「え、わかりました…」

 「よっしゃ!じゃ、始めるか」

 そういうと貝塚と白森のパチンコ対決が始まったのだった。

 -15分後

 「ぐぬぬ……」

 「勝負は、貝塚さんの勝ちですね!」

 「では、約束の賭け金を頂戴いたします」

 「ま、待て……」

 「はい?」

 「おい、姉ちゃん。そこのあんちゃんとグルじゃないか?だから、ズルしても隠してたんじゃないか?」

 「何を言うんですか?そんなことはないです」

 「そうですよ!グルだなんて……誤解です」

 「そう焦るとこが怪しんだ。この勝負は無効だな」

 「言い訳はそこまでだな、おっさん」

 「あん?部外者は黙っておれ」

 「そこのお兄さんに不正はなかった。それに店員の女の子も困ってるじゃないか。あまりいちゃもん着けるなら俺と勝負してそれで勝てたら俺は黙るけど俺が勝ったら…黙って手を引いて出てけよ」

 「…ふん。生意気な小僧が。俺の本気を見せてやるよ」

 

 しかし…圧倒的な強さで青年…東郷瞬は勝利した。

 「…ぐぬぬぬぬ」

 「おっさん、運なかったな」

 「お前だってズルしたんじゃないだろうな?」

 「まだ言い訳する気かよ。……俺に不正はあった?」

 「いや、なかったな」

 近くで見ていた政樹が割って入ってきた。

 「お主、氷室政樹…!」

 「こいつに不正はない。よって、お前の負けだぜ」

 「お、おい。情報屋!今日はここで、帰ってやる。しかし、次はこうは行かんぞ!」

 白森は走って出て行った。

 「ふん、なんだかんだ言って弱いおっさんだなー」

 「あれでもパチプロなんだから驚きだろ?」

 「驚きだ」

 「あ、あの」

 「あ、余計な真似をごめんなさい。賭け金取り損ねちゃいましたね。今度、その額俺が払いますよ」

 「いや、逆に助かりました。感謝します。…俺情報屋の貝塚って言います。今後何かあったらこの恩返しってわけで是非!」

 「え、情報屋?」

 「いいじゃないか、瞬。ありがたく利用させてもらおうぜ」

 「ありがとうございます、これ俺のアドレスです」

 「情報屋の貝塚さんね…了解ー」

 「では、俺仕事あるんで、何かあればお電話くれれば!」

 そして貝塚も去って行った。

 「よし、瞬。例の件……調査続行だ」

 「了解ー」

 「あの!私も感謝します」

 「ん?いやいや、怪我とかしなくてよかったよ」

 「ありがとうございます。私ここの店員の秋間美月って言います。お客さん名前は?」

 「随分と積極的だな。瞬答えてやれ!」

 「え、あー。俺は東郷瞬。最近ここらへんに引っ越してきて政樹さんと結構仲良くさせてもらってるんだ。ここもよく利用するつもり。。。これからよろしくね」

 「はい!勿論です!」



 -そして現在

 「そんなことあったっけな」

 「瞬。また動きがあれば教えろ」

 「了解ーってあ…」

 通話は切れていた。

 「まだ喋ってないっつーの……」