真夏の高校生探偵記


 
 -氷室邸 氷室の間

 「父上、私です」

 ふすまの奥から男の声が聞こえた。

 「勝利か…。今お客が来ている、用ならばあとにしろ」

 「ですが、父上!叔父さんのことです」

 「…善三郎の事か」

 「…はい」

 「まぁ、よいか。入れ」

 「失礼します」

 勝利は氷室の間へと入って行った。

 「お邪魔しています」

 清二と的場は勝利に会釈をした。

 「…いえ、えっとあなた方は?」

 「こちらは金剛町からやってきた的場巡査と清二君だ。瞬のこと疑っているらしい…善三郎殺人の容疑でな」

 「やはり、父上に耳にも入っていましたか」

 「うむ」

 「清二君と言ったね。瞬は残念ながら犯人ではないと思うよ。彼は確かに昨日来た。あまり話してはないが、弟のことを聞いたので、アリバイはあるよ」

 「そうですか…」

 「また1からでありますか……」

 「そうだね。でも、あの紫色の毛はなんだったんだろうか…」

 「しかし、瞬も変わっておるのう。いきなりここへ来たときは黒髪じゃったんだったが次の日には紫に代わっておったわい。何か髪の色を変える必要があったんじゃろうか」

 「父上、もう2年近くも前じゃないですか」

 「うむ、まぁよい。清二君、何にも力にはなれなかったがまたここへ来るといい。犯人捜しぜひ協力したい。善三郎は嫌いじゃが、誰が彼を殺したのか…ワシも気になるからのう」

 「わかりました、ありがとうございます!」

 「そういえば…ここへ来る途中に政樹さんに会ったのであります」

 「ま、政樹が新緑町へ?…な、なんでだ」

 「それはな、兄貴。瞬がこっそり教えてくれた金剛杯の事を伝えにここへ来たんだよ」

 「政樹、来ていたのか」

 「よう、親父、元気そうだな」

 「金剛杯とはパチンコ大会のことか?」

 「もうとっくに瞬が言いに来たか?」

 「残念だな、政樹。瞬は昨日来た。そん時に金剛杯の事を話したさ」

 「…瞬の話す金剛杯とはあいつが死ぬ前の話…だろ?俺は今度開催される大会の事だぜ?」

 「今度じゃと?善三郎が死んだあと、誰が一体?」

 「さぁな。俺は詳しくは知らねェが。次男ではないらしいな。冬助は何も言っていなかった」

 「ふむ、気になるのう。どうせ、お前参加するんだろう?」

 「あ?いや、俺はそん時都合があってな。代わりに瞬が出るかと聞いたが残念ながらあいつも無理らしくな、だから代わりにこいつを…」

 「馬鹿もん!純粋な公務員と学生を…」

 「冷蔵さん」

 清二は声を上げた。

 「どうしたんじゃ、急に」

 「実は、俺一度瞬さんとパチンコ勝負をしたんです」

 「な、なんじゃと?瞬と…」

 「でも清二君。瞬だってその辺のパチンコしてる青年じゃないよ本物のパチプロだ」

 「それでも勝っていろいろ話してくれたのでありますよ」

 「…清二君。だが、こいつの言うことは聞いちゃダメじゃ」

 「おいおい、親父。いいチャンスじゃないか?金剛一族の裏を知れるかもしれねェ…。金剛町の税金を使ったパチンコ大会の謎…とかな」

 「それって!」

 「興味あるだろう?…一時期町民が苦労した時期の話。…お前がやるなら協力してやろう」

 「清二君…どうするでありますか?」

 「…もちろん」

 「…清二君、もし大会に参加するのじゃったら、ワシも協力するぞ」

 「ありがとうございます。もちろん挑戦しますよ」

 「ふん。パチプロ誕生みたいだな」

 「…政樹、お前が言い始めたんだ、しっかりまとめろよ」

 「わかってる兄貴」

 「じゃ、詳しい話は俺のオフィスにてだ。そうそう、これを親父に」

 「ん?」

 政樹は冷蔵に紫の宝玉を手渡した。

 「なんじゃこれ?」

 「一級品。もっとけ」

 「お、ありがとうのう」

 「さ、行くぞ」

 そして、清二はパチプロとして金剛杯に参加することとなったのだった。