-金剛会館
「…流石に死体は警察の人が持って行ったのかな…」
善三郎の遺体は警察が署まで運んで行った。
「この辺に死体が…あったんだよな」
清二は元遺体があった場所の付近を捜索した。
「…何にもないな」
「当たり前だよ!私が毎日朝掃除しているからね!」
掃除のおばさん、茂田カヨ江が立っていた。
「今日も掃除したんですか?」
「勿論だよ。町長のご遺体を警察の人が持って行ってから、掃除をしたんだよ」
「なにか、落ちてたりしませんでしたか?」
「特にめぼしいものはなかったね。それに、私はこの目で見たんだよ。あんたがここで立っているのをね。今更言い訳をしても無駄じゃないか」
「あれ、これは?」
ソファの下に落ちていた紫色の糸のようなものを清二は見つけた。
「紫色の毛?糸?」
「それ、見せてごらん…これは髪の毛みたいだね」
「紫色の毛?そんな人いるの?」
「えぇ、いるわね。パチンコ屋にいるんじゃないかしら」
「そっか、ありがとうございます!」
「ちょ、ちょっとー!どこへいくの?」
カヨ江の言葉を無視し清二はパチンコ屋『ゴールドメッキ』へと向かった。
-ゴールドメッキ
「いらっしゃいませー、おこしやす~」
店内に入ると京訛りの女性の声が響いた。
「すいません…いいですか?」
「へー!パチンコしはるんは初めてどすか?お教えしまひょか?」
「い、いえ、聞きたいことがあるのですが」
「なんでっしゃろ?」
「ここに紫色の髪の毛をしている人がいると聞いたのですが」
「紫色ん髪…?瞬はんのことどすか?彼に何か御用どすか?」
「えぇっと…まぁ用事があります」
「瞬はんは、先ほど居たんやが…用がおますとかで出て行きたんやよ?」
「そうですか…。あの、あなたの名前を聞いてもいいですか?」
「名前どすか?うちは秋間美月と言います。因みに、あんはん探したはる人は東郷瞬はんでっしゃろね。彼んパチンコん腕前は確かどす。見てて惚れ惚れしはりますからね」
「東郷瞬…」
美月は瞬のパチンコの腕の事を熱く語っていた。清二は東郷瞬の事を考えていて話の半分は聞いていなかった。
「どすから、瞬はんんパチプロとしいやん腕はうちん目に狂いはおまへなんだ。そない、彼をうちは愛しいやいます」
「え、秋間さんは東郷瞬の事を好きなんですか?」
「彼ん魅力へーつぞや解散どしたアイドルに似ています。あんさんも見たら知ってるはずどす…」
「そうですか…では、ありがとうございま…」
清二が話を切って帰ろうとしたとき、パチンコ屋のドアが開き、一人の青年が入ってきた。
店内はざわめきはじめた…
「あれが、瞬はんや!あんはん探しいやおいやした紫色ん髪ん方どす」
その青年は、美月が言ったように、紫色の髪をしており、革ジャンを着ている青年だった。しかし、その顔立ちはある人に似ていた…。
「あ、あ…お前はアイドル『DREAMRS』の…紫吹美黒…?」
しかし、瞬は首を横に振った。
「悪いな、確かによく、そいつに似ているって言われるけど、別人さ。俺は東郷瞬。ここでパチンコをしているただの暇人ってところ…か」
「暇人やなんて!瞬はんは、パチプロとしいや有名ではおまへんどすか。金剛町をはじめ隣町ん新緑街かて『金剛の貴公子』ん名前が広まっとるではおまへんどすか」
「美月ちゃん…それ以上は言っちゃいけないよ」
「…はぁい」
「ところで、瞬さん…話があるんですが」
「俺に?何か用か?」
「今朝、金剛会館へ行きましたか?」
「…?」
「瞬はんに聞きたいことがおますなら、彼とパチンコで勝負をしいや勝ってからにおくれやす!」
美月が言った。
「美月ちゃん、何を言っているんだ?彼はどう見たって素人だ。パチプロにかなうわけないじゃないか…」
「いえ、やりますよ」
「そん意気どす!瞬はんとん勝負、こんうちが見届けて差し上げます!」
「仕方ない…俺に勝つことができたら君が聞きたいことを答えよう。それでいいですか?」
