実緒の体が俺の腕の中で崩れた。

えっ?実緒?!

真っ青な顔をしている。チアノーゼも出ているようだ。

脈がどんどん弱くなってきている・・・・。

「春斗先生!!至急処置を!!実緒ちゃんは、記憶に飲み込まれてしまったようです。」

「こちらに、戻ってくるように声をかけ続けてください!!」

俺は実緒をベッドに下すと、指示を出す。

モニターをつけて、ルートを確保する。

酸素吸入をつけて、体を温める。

「実緒!!実緒!!俺の声が聞こえるか?!俺のところへ戻ってこい!!」

「和也!!実緒を連れて行かないでくれ!!頼む!!」

手を握り締め、声をかけ続けた。

いつの間にか、原先生が駆けつけてくれていてモニターを見ながら険しい顔つきをしていた。

俺は原先生に、そっちをまかせて自分は実緒に意識を集中する。

誰がなんと言おうとも、俺はもう2度と君を離さない!!

以前にも君に言ったかもしれないが、1度はあきらめようとした。

和也と一緒の方が実緒のためだと、幸せな姿を見ているだけで十分だと・・・。

でも、俺は後悔した。時間がたてばたつほど、この想いは強くなるばかりだと・・・。

和也はそれに気づいていたのかもしれない。

だから、最後に俺に実緒をたくしていったのかもしれない。