原先生と俺は、ずっと実緒の話をしていた。

モニターの数値は安定していて、心配していた副作用も起きなかった。

原先生も朝日が眩しいと言いながら、帰っていった。

ベッドの横にある椅子に座ると、実緒の手を握り締めながらウトウトと眠ってしまっていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・ピクッ・・・・ピクッ・・。

実緒の手が、微かに動いた。

「んっ!実緒!!実緒!!」

すると、ずっと閉じていた瞼がゆっくりと開いた。

「俺がわかるか?」

ゆっくりと頷く。

「今、外してやるからな。少し我慢な・・・。」

やさしく声をかけながら、挿管していたのを外した。

「ゲホ・・ゲホ・・。」

かすれた声で「春・・兄・・。」と言った。

「良かった!!本当に良かった。」

俺は、半泣きになりながら、実緒を抱きしめた。

いっその事、この胸の中に閉じ込めてしまえたらいいのに・・・・。