「実緒!実緒!大丈夫だから落ち着いて!!実緒!!」

俺は、必死に叫びながら背中をさする。

でも、実緒は目を閉じたまま苦しがっている。

「春斗先生、落ち着いてください。これは実緒ちゃんの記憶です。現実ではありませんから」

俺は、どうしていいか分からず、ただ実緒を抱きしめ励まし続けた。

すると実緒の発作が治まってきた。

「実緒ちゃん、今度は何が見えるかな?」

「・・・。病院のベッドの上に寝てる。そばに春兄ちゃんが居る。」

「じゃあ。もうちょっと大きくなろうか・・・。」

白石先生が、9歳・・10歳・・と言いかけると

「嫌だ!!どうしてなのー!!一緒がいいのにー!!」

突然実緒が暴れだした。

「白石先生!!」

「春斗先生、実緒ちゃんを押さえつけてください」

原先生は、実緒の腕に注射を打つ。

実緒の体からちからが抜ける。

「実緒ちゃん。今から3つ数を数えたら目が覚めるからね。3・・2・・1・・はい目を開けて。」

実緒は俺の腕の中で目を開けると、ギューとしがみついて体を丸めるとまた目を閉じた。

呼吸が安定し、脈も正常になったのを確認するとベッドにおろそうとした。

でも、しっかりとしがみついている実緒を離すことができず、そのまま抱っこしていた。

「春斗先生は、とても、信頼されているようですね。」

「私の治療方法は、これを続けて記憶を戻していくんです。」

「辛いかもしれませんが・・・・。覚悟して治療に臨んでください。」

そう言うと病室をあとにした。