俺は、実緒を抱いて車いすに乗せると、最上階にある特室へ向かった。

すると、1枚のカードキーを渡された。

これは、俺と原先生そして、山本さんと佐藤さんにのみ渡され、マスターキーは父さんが管理することになっていた。

病室に入ると、ビックリした。

そこは、まるでホテルのスイートルームのような作りになっていた。

おまけに、俺の医局にあるはずのデスクとノートパソコンが運び込まれていた。

隣のナースステーションには実緒に必要な薬品や医療機器が揃っていた。

「実緒ちゃん、気に入ってくれたかな?」父さんが聞く。

「うん。でも一人ぼっちは淋しいし、いやだなー」

「大丈夫だよ。心配しなくても、そこにいるお兄さん先生がいつも一緒にいてくれるからね。」

「もちろん眠るときも一緒だよ」

「あとは、この看護師さんたちと原先生もくるから淋しがることはないんだよ」

初めは、不安そうにしていた実緒だったけど・・。

「じゃあ、淋しくないね。」と、安心したようだ。

「ねえ、実緒ちゃん。イチゴのゼリー食べようか?」と、山本さん

「たべるー。いただきまーす。」

少しずつスプーンで口に運び完食する。

「あーおいしかった。ごちそうさまー。」

・・・・・・・・・・・・・。

少しすると車いすで実緒がウトウトしだした。

俺はベッドに寝かせると、原先生はグッスリと眠ったかを確認する。

そして、点滴セットを持ってくると素早くつける。

「これは、高カロリーの栄養点滴だよ。実緒ちゃんが眠っている間に投与するんだ」

「これは、これからは春斗先生の役目だからね。」

「あとは、ばれないように外して片づけてね。」

そう説明すると、皆部屋から出ていった。