実緒はいつまでも泣き続けながら、和也から離れようとしなかった。

父さんは、いつの間にかいなくなっていた。

俺はそんな実緒の姿をじっと見つめていた・・・・。

そこへナースが申し訳なさそうに「あの・・そろそろ・・・」と伝えに来た。

「ああ・・すまない。・・・そうだな」

俺は実緒のそばに行き、和也から離そうとした。

でも、それを頑なに拒み続け聞き入れようとしなかった。

俺は仕方なく「ごめん、少し眠ろうね」とささやくと、ギュっと抱きしめ即効性のある睡眠薬を素早く注射した。

実緒の体から力が抜けた。

そのまま抱き上げると和也に「必ず約束を果たすよ。だから俺たちを見守っていてくれ」と言うと病室を出た。