春斗は実緒の病室へ戻って行った。和也には、どうだったかと聞かれたが全てを話せず麗先生を近いうちにアメリカ
の提携病院へ行かせることだけ伝えた。

翌朝、実緒の目が覚めた。

「おはよう!気分はどうだい?ちょっと診察させてね。」

「うん。いまのところは大丈夫だね。熱もないし、呼吸もしっかりしてる。」

「ありがとう。春兄。そういえば、うさちゃんルームどうなってるの?さきちゃんは元気になったのかな?」

不安そうな顔で聞いてきた。

「さきちゃんなら元気になったよ。実緒のことが心配でここにも来たんだよ。おねいちゃんは悪くないって、ごめんなさいって伝えてほしいってさ。原先生もすまなかったって言ってたよ。ルームのほうは、宮川さんと原先生とベテランの看護師がちゃんとやってるから心配ないよ。」

「俺は今から外来だからまた終わったらくるよ。もうすぐ和也がくるからね。おとなしくしてるんだよ。」

春兄はそう言いながら、出ていった。

しかし、実緒の心は複雑だった。おじ様との約束・・・。和也と別れて三条の家を出ること・・・。

考えるだけで、胸が苦しくなる。どうしよう・・・。

「ごめん。遅くなったー」和也が笑顔で入ってきた。

「あれ、どうした元気がないなー。淋しかった?・・・。腕、大丈夫か酷いことされたなー」

「うん。怖かったよー。痛かったし・・。でも、大丈夫だよ。いっぱい心配かけてごめんね。」

一生懸命笑顔を作ろうとしてるのに、どうしたのかな?涙が止まらない。

「実緒、無理するな!!泣いてもいいんだよ。全部おれが受け止めてやるから・・・。」

和也が抱きしめてくれる。私がなきやむまでずっとそうしていてくれた。