春斗は和也に実緒を任せると、原先生と合流し院長室へと向かった。

トントン・・・ドアをノックして院長室へはいる。

「失礼します。実は麗先生のことで、お話したいことがあります。」

「春斗に原先生・・・。話とは何かね?」

二人は、先日のさきちゃんの件や、麗先生が実緒にしたことなどを全て打ち明けた。

「そうだったのか・・・。話は分かった。しかし、彼女のお父上は有力な国会議員でな。名前ぐらい聞いたことあるだろう。横山 勇なんだよ。それに、麗先生と和也は近い将来結婚することになっている。だが・・・。騒ぎが大きくなるのも困るしなー。二人にはほとぼりがさめるまで、アメリカにあるうちの提携病院にでも行って技術を磨いてきてもらうとしようかなー。」

「冗談だろ父さん!実緒はどうなるんだよ!!」

「ああ。彼女にはもう承諾してもらっているよ。それに、マンションを用意したからそこに移ってもらうように話をしてあるよ。まあ、悪いようにはしないさ、あの子の父親は私の大切な恩人だったからね。」

「そんなの、和也が許すわけがないだろう?!」

「実緒ちゃんから、別れ話をされれば、和也だって諦めるさ。そういえば、彼女の様子はどうかね?春斗が担当しているんだろう。それなら心配ないな。おまえだって実は好きなんだろう。私の眼はごまかされんぞ。ははは。」

「そっそれは・・・。」

「とにかくだ、話はこれでお終いだ。原先生もよろしいですかな」

二人は黙ったまま、院長室をあとにした。